保釈とは刑事事件を起こして起訴され、拘置所に勾留されている被告人の拘束を解き、解放する制度のことです。
保釈について語る前に、なぜ刑事事件の被告人は拘置所に拘束されているのでしょう?
1つには広い意味で証拠隠滅を防ぐためであり、もうひとつは公判や刑の執行へ確実に出頭させることができるためです。
しかし、人を拘束し続ければ、その人の社会復帰はだんだん難しくなります。
拘束が長期にわたれば、勤め先は長期欠勤ということでクビになることも珍しくないようです。
たとえ無罪判決が出ても、暮らしていけないという悲惨なことになりかねませんし、執行猶予判決であった場合も同様です。
被告人を拘束から解放しても、逃走せず、確実に期日に出頭させられる条件が整うのであれば、何も拘束しておく必要はないのです。
そこで考えられたのが保釈という制度です。
その条件とは「被告人から一定額のお金を預かり、逃亡や証拠隠滅をしたら没取(ぼっしゅ)」というものです。
裁判所は被告人や弁護人などから保釈の請求があった場合、保釈できない正当な理由がある場合を除いて、保釈金の金額を決め、それが支払われたら保釈を許可しなければなりません。
そして保釈はすべての被告人に請求する権利があります。
毎年1万人以上の被告人が保釈を請求しているといいます。
判決で実刑判決が出た場合、保釈は取り消され、拘留されることになります。