例えば、新人のAさんが上司のB課長にこれからの行動について「これで進めますが、よろしいですか?」と確認した際にB課長は「結構です」と答えました。
普通に考えればB課長は「OK」と答えているのですが、新人のAさんは普段から語り口の丁寧なB課長が「OK」と言っているのか「やる必要はない」と言っているのか迷ってしまいました。
まあ、分からなければ確認するのが一番確実ですが、その「結構です」が肯定なのか否定なのかを見分けるポイントはあります。
まず、相手がこちらのことに関して「結構です」と言った場合は、肯定を表します
「これで良いでしょうか」=>「結構です」(それで良いです:肯定)
「この資料をご確認いただけますか?」=>(資料を見た後)「結構です」(これでバッチリです:肯定)
「(私が作った)料理の味はいかがでしょうか?」=>「結構です」(満足です:肯定)
と、こんな感じです。先の新人Aさんの質問もこちらに属しますね。
一方、相手がこちらからの提案に関して「結構です」と言った場合は、否定を表します
「お茶をお注ぎしましょうか?」=>「結構です」(満足している(喉は渇いてない)ので不要です:否定)
「新商品をご購入なさいませんか?」=>「結構です」(現状で十分なので新商品は不要です:否定)
「また同じ仕事をしませんか?」=>「結構です」(これまでで十分ですのでやりません:否定)
と、こんな感じです。否定として使われるときは、基本的に「もう」か「いいえ」を頭に付け足したら分かりやすくなると思います。
前述のB課長の「結構です」が、「もう結構です」か「いいえ、結構です」だとトンチンカンな回答になりますよね。それは肯定の意味での使用だからです。(もちろん、それまでの経緯で色々なことがあってトンチンカンにならない場面もあるでしょうが、そのような特殊な状況で「結構です」の一言で答える方もどうかと思います)
このように曖昧になりかねない言葉なので、明確な意思を伝えたい場合の使用には十分注意が必要です。
こちらが使用した場合、相手が誤解していないかどうかにも注意すべきです。