「清水の舞台から飛び降りたつもりでやってみるか!」などと、思い切りや決断を表すときに使われるこの言葉。
鎌倉時代の「宇治拾遺物語(うじしゅういものがたり)」には、そこから飛び降りた男の話が載っています。
口論の末、追われた男が清水寺の御堂に逃げ込み、そこにあった衝立を抱えて舞台から飛び降り、怪我もせずに谷底に着地して逃げ延びた、というくだりがあります。
実は、清水寺の代々の寺務長は日記をつけていて、その日記をひも解いて、今までに何人の人が舞台から飛び降りたか、そしてその人がどうなったか、という記録が残っています。
現存する日記は1694年(元禄7年)以降のもので、その年から明治政府が「飛び降り禁止令」を出した1872年(明治5年)までの148年間に、234人の人が飛び降り、235件の飛び降り事件が記録されています。
234人、235件と差が出ている理由は、同じ人(女性)が2度飛び降りているからです。
そして、飛び降りて生きていた人は・・・、実に85%(200人)あまりの人が生還しています。
江戸時代には「傘を差して清水の舞台から飛び降りると恋が成就する」などという俗信もあったようで、いつの時代も「飛び降りること」が連想されていたと思われます。