手紙、特に形式的な手紙は、前文、主文、末文、後付という構成で書くのが一般的です。
そして、前文の冒頭は「頭語」を書いて、続けて時候の挨拶を書くのが通例です。
時候の挨拶には、「厳寒の候」「初冬のみぎり」のような漢語調の慣用句と、「めっきり日も短くなり、寒さが身にしむこの頃」「年の瀬もいよいよ押し詰まってまいりました」のような口語調の表現があります。
漢語調の時候の挨拶は、簡潔で格調高い響きがあるので、儀礼的な手紙、ビジネス文書などに用いられるのが一般的です。
一方、口語調の時候のあいさつは、柔らかく親しみやすい感じがするので、親しい知人や友人など、個人と個人との手紙の際に用いられるのが一般的です。
時候の挨拶の慣用句を使用するのは便利ですし、手紙の書き方のマナーとしても一般的なものですが、安易に使ってマナー違反をしてしまわないように注意が必要です。
違う季節の時候のあいさつを間違って使ってしまうのは論外ですが、比較的暖冬の年に「厳寒の候」だとか、明らかに冷夏なのに「連日うだるような暑さが続きますが」などと書いてしまっては、あまりにマニュアルどおりで、深く考えずに手紙を書いたと思われてしまい失礼にあたります。
また、同じ月だとはいっても、上旬、中旬、下旬では、季節感にも違いがある月もあるものです。
これらのような点にも留意し、手紙を書くときの実際の季節感にあわせて、適切な時候の挨拶を用いるように気を付けましょう。