民事事件・民事裁判について簡単にご説明します。
民事事件は、平たくいうと「人と人の権利の争い」のことです。
人、というのは場合によっては企業であったりします。
例えば「貸した金を返してくれない」とか「いくら言っても隣の家の騒音がウルサイ」といったものです。
こういう人と人の争いに「じゃあ警察を呼ぶからな!」と言ってお巡りさんを呼んだとしても、お巡りさんは基本的に介入する権利を持っていません。せいぜい人として注意をするくらいでしょう。
これを「警察の民事不介入」と言います。
もちろん、争いの途中で、誰かが誰かを殴った、などという傷害事件に発展すれば、その点においてはお巡りさんが、加害者を現行犯逮捕する、といった事はあるかもしれませんが、それは「殴った」事に対しての「刑事事件」としてです。
民事の中には「夫を殺されて生活が立ち行かなくなった。犯行に責任のある者は賠償しろ」などという訴えもあります。殺人事件自体は刑事裁判で裁かれるのですが、賠償金などは民事で争わなければならないのです。
そして人と人の争いで、不満を持った側が「原告」として裁判所に「提訴」した場合、「民事裁判」が始まります。
民事裁判は「原告 VS 被告」という構図になり、民法を根拠に、原告の訴えは正当か、被告の言い分はどうか、被告の賠償すべき責任はどの程度か、といった点が争われます。
裁判の結果、「有罪(責任は被告にある)」となった場合、被告は原告に対して判決で言い渡された賠償をしなければなりません。
しかし、刑事裁判と違い、この裁判の結果で前科がつくようなことはありません。
原告は基本的に裁判に勝つまで裁判費用や弁護士費用などを自腹で支出しなければなりませんが、裁判に勝つと裁判費用を含めて賠償を受けることも可能であるのが、刑事裁判との違いです。