「伺う」という言葉はしばしば「お伺いする」などという使われ方をされますが、それは二重敬語になるのかなど、「伺う」という言葉の使い方などについてご紹介します。
「伺う」という敬語の使い方
「お伺いする」は二重敬語では?
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「何点かお伺いしたい事があります」
このような言い回しをよく聞きます。
「伺う」という言葉は「聞く」「尋ねる」や「訪問する」の謙譲語、つまり敬語です。
その敬語の頭にさらに「お」をつける事は二重敬語になります。
二重敬語とはその名の通り1つの言葉に2つの敬語表現を使う言い回しのことで、そのような敬語の使い方は一般に適切ではないとされています。
しかし、正しい言葉を使うはずのテレビのアナウンサーでも「お伺いします」という言い方をしてる事がままあります。いったいどういう事でしょうか?
平成19年2月2日に文部科学省の文化庁が発表した「敬語の指針」の中では二重敬語について以下のように記述されています。
「二重敬語」とその適否
一つの語について,同じ種類の敬語を二重に使ったものを「二重敬語」という。例えば,「お読みになられる」は,「読む」を「お読みになる」と尊敬語にした上で,更に尊敬語の「……れる」を加えたもので,二重敬語である。
「二重敬語」は,一般に適切ではないとされている。ただし,語によっては,習慣として定着しているものもある。
【習慣として定着している二重敬語の例】
・(尊敬語) お召し上がりになる,お見えになる
・(謙譲語I)お伺いする,お伺いいたす,お伺い申し上げる
参考文献:文化庁「敬語の指針」
つまり「本当は好ましくないけど、みんなが使ってすっかり定着した言い回しだからしようがないよね」ということです。
その「伺う」は誰にかかっている?
「先生のお噂はかねがね母より伺っております」
さて、この言い方は敬語として正しいでしょうか。
先生と話しているのだから「伺う」という謙譲語を使っているのでしょうが、この場合の「伺う」は適切ではありません。
その理由は、この「伺う」は「母」にかかっているからです。
他人と話すときに、身内に謙譲語を使うことは正しい敬語ではありません。
「先生のお噂はかねがね伺っております」
という使い方あれば問題ありません。または
「先生のお噂はかねがね母より聞かされております」
などという言い方もできます。
他社の人と話す際の社内の人間に対しても同じことが言えます。
間違ってもお客様に「○○様へは私から上司に伺って返答させていただきます」などと言わないように気をつけましょう。
では、お客様に電話で訪問の約束をする際に「私が伺います」という使い方は正しいでしょうか?
正解は「正しい」です。
一見自分に対して謙譲語を使っているように見えますが、この場合は暗黙で「お客様の家へは私が伺います」というお話になっており、「伺う」は「お客様の家」、つまり「伺う先」にかかっているからです。
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