だるまの目入れの由来は、江戸時代に流行した疱瘡(天然痘)にあるといいます。
当時、疱瘡の原因は、疱瘡神によるものと信じられていて、疱瘡神は赤い色を嫌う、という言い伝えから、疱瘡患者には赤い着物を着せたり、子供のおもちゃを赤く塗ったりしていました。
縁起物であるだるまも「赤」であることから、疱瘡除け、ひいては魔除けの玩具として使われたそうです。
さらに、疱瘡にかかると、視力を失うことも頻繁にあったため、目がキレイに描かれているだるまは人気になり、目の書き方が良くないだるまは、売れないという事態が起こりました。
そこでだるまを売る商人は、だるまには目を書かず、注文が成立してはじめて目を書き入れたり、目の書き入れ自体を客に任せるようになったそうです。
これが「だるまの目入れ」の起源だと言われています。
そして、だるまは有り難いものとして、仏像と同じく拝まれるものとして、目の書入れを「開眼」とも呼ぶようになりました。
現代では、その目入れが変遷をとげ、何か願い事がある際に、片目を書き入れ、願いがかなったらもう片一方の目も書き入れるという儀式が行われるようになりました。
なお、最近では目入れの儀式自体が障害者差別になるのではないか、という声も聞かれるようになり、昔に比べて公の場でだるまの目入れを目にする機会は減っているといわれています。