ニュースを見ていると、大麻を吸った芸能人や汚職政治家が逮捕されたとき、保釈金を支払って拘置所から出てくるシーンを見かけます。あれらは特別な人物だから保釈されているのでしょうか?ここでは保釈の意味や保釈金についてご紹介します。
保釈の意味と保釈金
保釈とは
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保釈とは刑事事件を起こして起訴され、拘置所に勾留されている被告人の拘束を解き、解放する制度のことです。
保釈について語る前に、なぜ刑事事件の被告人は拘置所に拘束されているのでしょう?
1つには広い意味で証拠隠滅を防ぐためであり、もうひとつは公判や刑の執行へ確実に出頭させることができるためです。
しかし、人を拘束し続ければ、その人の社会復帰はだんだん難しくなります。
拘束が長期にわたれば、勤め先は長期欠勤ということでクビになることも珍しくないようです。
たとえ無罪判決が出ても、暮らしていけないという悲惨なことになりかねませんし、執行猶予判決であった場合も同様です。
被告人を拘束から解放しても、逃走せず、確実に期日に出頭させられる条件が整うのであれば、何も拘束しておく必要はないのです。
そこで考えられたのが保釈という制度です。
その条件とは「被告人から一定額のお金を預かり、逃亡や証拠隠滅をしたら没取(ぼっしゅ)」というものです。
裁判所は被告人や弁護人などから保釈の請求があった場合、保釈できない正当な理由がある場合を除いて、保釈金の金額を決め、それが支払われたら保釈を許可しなければなりません。
そして保釈はすべての被告人に請求する権利があります。
毎年1万人以上の被告人が保釈を請求しているといいます。
判決で実刑判決が出た場合、保釈は取り消され、拘留されることになります。
保釈が認められない理由と保釈の種類
保釈請求はすべての被告人に与えられた権利ですが、以下の理由がある場合は保釈は許可されません。
1.死刑・無期懲役、または短期1年以上の懲役・禁固にあたる重罪事件で、実刑判決が予想されるとき
2.死刑・無期懲役、または長期10年を超える懲役・禁固にあたる重罪事件の前科があるとき
3.長期3年を超える懲役・禁固にあたる罪の常習犯であるとき
4.証拠隠滅の恐れがあるとき
5.被害者らに対する加害(逆恨み・仕返し)の恐れがあるとき
6.被告人が氏名不詳、住所不明のとき
なお、保釈には3つの種類があります。
1.権利保釈:被告人や弁護人が請求して許可された保釈
2.裁量保釈:保釈できない理由に該当するが、裁判所が保釈が適当と認めた場合の職権による保釈
3.義務的保釈:勾留による拘禁が不当に長くなった場合に、裁判所の義務として許可する保釈
※実際には義務的保釈が行われることはほとんどないそうです。
保釈金について
保釈されるためには保釈金(保釈保証金)を裁判所に収める必要がありますが、この金額は人によって全然違います。
基本的に被告の資産状況などから「この人はこの金額を捨てて逃亡することなどできないはず」と思われる額が設定されますので、お金持ちの事件などはトンデモナイ額になる場合があります。
一般人であれば、2〜300万円が相場のようです。
保釈金は現金で納付するのが原則ですが、特に裁判所の許可があった場合、有価証券や、裁判所が適当と認める被告人以外の人物が差し出した保証書を保証金に代えることができます。
また、保釈は正当な理由なく出頭しなかったり、逃走したり、証拠隠滅したり、被害者に危害を加えたりした場合、取り消されます。
その場合、保釈金の全部または一部は没取(ぼっしゅ)され、そのお金は国庫に入ります。
保証金は判決が出て無罪の場合や、有罪で禁固刑になった場合など、要するにもう「保釈」の状態でなくなる際に還付されます。
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